停電しても在宅勤務を続けるには?PCとルーターの消費電力から必要容量を逆算
在宅勤務中に停電すると、止まるのは部屋の明かりだけではありません。ノートPC、Wi-Fiルーター、外付けモニターといった仕事道具が一斉に電源を失います。復旧までどれくらいかかるかは、その場にならないと分かりません。
見通しは、「同時に使う機器の合計W × 続けたい時間」で必要な電力量(Wh)を逆算すれば立てられます。この記事では、在宅勤務でよくある3つの構成をシナリオにして、4時間・8時間の勤務に必要な容量を計算しました。
なお、本記事の数値はすべて計算上の目安で、メーカーの保証値ではありません。計算の前提は「計算方法について」に明記しています。
この記事の結論|仕事を止めないための容量は、機器の合計Wから決まります
必要容量は「同時に使う機器の合計W × 続けたい時間」で決まります。ノートPC 80WとWi-Fiルーター10Wの最小構成は合計90Wで、4時間に必要な公称容量は約424Wh、8時間は約847Whです。外付けモニター13Wを足した合計103Wでは、4時間で約485Wh、8時間で約969Whが必要です。
標準は Jackery ポータブル電源 1000 New(119,800円)です。1,000Wh帯では、最小構成で約9.7時間、モニターありの構成で約8.5時間使える計算で、8時間の勤務の目安になります。照明とスマホ充電を足した合計142Wのフル構成では、1,000Wh帯で約6.1時間にとどまり、8時間では2,000Wh帯が目安です。
会議中の瞬断が気になるなら、切替10ms未満の EcoFlow DELTA 3 Plus(149,600円)が候補です。
当サイトは実機を持たず、メーカー公表値と公的資料をもとに計算しています。載せている使用時間は公表値からの逆算で、実測ではありません。
先に結論|シナリオ別、必要な容量の目安
機器の消費電力は後述の公表値を使い、ルーターは幅の上限側(10W)で見積もっています。必要な容量は、後述の推定係数0.85で割り戻した「バッテリーの公称容量」換算です。いずれも計算例であり、実際の構成や使い方で変わります。
| シナリオ | 合計W | 4時間に必要な公称容量 | 8時間に必要な公称容量 | 容量帯の目安 |
|---|---|---|---|---|
| A: ノートPC+ルーター(最小構成) | 90W | 約424Wh | 約847Wh | 4時間なら500Wh帯、8時間なら1,000Wh帯 |
| B: A+外付けモニター | 103W | 約485Wh | 約969Wh | 4時間なら500Wh帯(余裕は小さめ)、8時間なら1,000Wh帯 |
| C: B+照明+スマホ充電(フル構成) | 142W | 約668Wh | 約1,336Wh | 4時間なら1,000Wh帯、8時間なら2,000Wh帯 |
ポイントは2つあります。1つ目は、在宅勤務の機器は消費電力が小さいものが中心なので、冷蔵庫や調理家電を動かす場合と比べて必要容量が小さく済むことです。2つ目は、それでも「モニターを足す」「照明や充電を足す」と積み上がり、8時間勤務では容量帯が1つ上がる場面があることです。
計算方法|「合計W × 時間 = 必要なWh」
在宅勤務の計算は、家電を1台ずつ切り取るのではなく、同時に使う機器をまとめて考えます。
必要な電力量(Wh)= 同時に使う機器の消費電力の合計(W)× 続けたい時間(h)
たとえば合計90Wの構成で8時間まかなうなら、90 × 8 = 720Wh が「実際に取り出して使える量(利用可能量)」として必要です。バッテリーの公称容量はそのまま全量を使えるわけではないため、当サイトでは利用可能量 = 公称容量 × 0.85 で見積もり、必要容量は 720 ÷ 0.85 ≒ 約847Wh と計算します。
各容量帯で取り出せる利用可能量の目安は、500Wh帯(512Wh)で約435Wh、1,000Wh帯(1,024Wh)で約870Wh、2,000Wh帯(2,048Wh)で約1,740Whです。シナリオの必要Whがどの帯の利用可能量に収まるかで、容量帯の目安を判断しています。
計算方法について
本記事の使用可能時間は「バッテリー容量(Wh)× 0.85 ÷ 家電の消費電力(W)」で計算した目安です。0.85は、直流から交流への変換ロスなどを見込んだ当サイト独自の推定係数で、メーカーの保証値ではありません。実際の使用時間は、気温、バッテリーの使用年数、家電の設定や使い方、同時使用の有無によって変わります。特に冷蔵庫のようにコンプレッサーがON/OFFを繰り返す家電は消費電力の幅が大きく、計算結果にも幅が出ます。停電への備えとしては、短い方の見積もりを前提に計画することをおすすめします(安全性を保証するものではありません)。
他の家電も含めた使用時間の早見表は、容量帯別のハブ記事にまとめています。
ポータブル電源は何時間使える?500Wh・1000Wh・2000Wh別に家電の使用時間を逆算
計算に使う機器の消費電力
シナリオで使う数値です。メーカー公式ページの使用例などに基づく代表値で、実際の機器は型番・設定・使用環境で変動します。自宅の機器では、本体や取扱説明書の定格表示で確認してください。
| 機器 | 消費電力の目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| ノートPC | 80W | Jackery公式 製品ページFAQの使用例 |
| Wi-Fiルーター | 約3W〜10W | EcoFlow公式 製品ページの使用例(WLANルーター3W/トラベルルーター10W) |
| 外付けモニター(23.8インチ) | 13W(通常使用時) | アイ・オー・データ LCD-AH241EDB-A のメーカー公表値(最大24W) |
| LED照明 | 10W | Jackery公式 製品ページFAQの使用例 |
| スマートフォン充電 | 18W〜29W | Jackery公式 製品ページFAQの使用例(機種・充電規格で変動) |
シナリオでは、ルーターは幅の上限の10W、スマホ充電は29Wと、厳しめの見積もりになる側の数値を使っています。モニターはサイズや輝度設定で変わり、メーカー公表値でも標準(通常使用時)と最大で開きがあるため、自宅の機種では大きい方の数値で計算しておくと見積もりに余裕が出ます。
シナリオA|ノートPC+ルーターの最小構成
ノートPC(80W)とWi-Fiルーター(10W)だけの、合計90Wの構成です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 合計消費電力 | 90W |
| 4時間に必要なWh(利用可能量) | 360Wh(公称容量 約424Wh) |
| 8時間に必要なWh(利用可能量) | 720Wh(公称容量 約847Wh) |
| 500Wh帯(利用可能 約435Wh)では | 約4.8時間 |
| 1,000Wh帯(利用可能 約870Wh)では | 約9.7時間 |
| 2,000Wh帯(利用可能 約1,740Wh)では | 約19.3時間 |
半日(4時間)なら500Wh帯で収まる計算です。丸1日(8時間)では500Wh帯で足りず、1,000Wh帯が目安になります。なお、ノートPCには内蔵バッテリーがあるため、停電直後からポータブル電源の電力をすべてPCに割く必要がない場合もあります。その分は見積もりの余裕として考えてください。
シナリオB|外付けモニターを足した構成
シナリオAに外付けモニター(13W)を足した、合計103Wの構成です。在宅勤務では一般的なデスク環境に近い形です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 合計消費電力 | 103W |
| 4時間に必要なWh(利用可能量) | 412Wh(公称容量 約485Wh) |
| 8時間に必要なWh(利用可能量) | 824Wh(公称容量 約969Wh) |
| 500Wh帯(利用可能 約435Wh)では | 約4.2時間 |
| 1,000Wh帯(利用可能 約870Wh)では | 約8.5時間 |
| 2,000Wh帯(利用可能 約1,740Wh)では | 約16.9時間 |
モニター1台で合計Wは13W増えるだけですが、8時間では必要量が約100Wh増え、1,000Wh帯の利用可能量(約870Wh)に対して余裕が小さくなります。「モニターを足すと必要容量が跳ねる」のはこの積み上がりのためです。停電が長引く場合は、モニターを消してノートPC単体に切り替えれば、消費をシナリオAの水準まで落とせます。
シナリオC|照明とスマホ充電まで含めたフル構成
シナリオBに、LED照明(10W)とスマートフォン充電(29W)を足した、合計142Wの構成です。夕方以降も勤務が続く、連絡手段の充電も切らしたくない、という場面を想定しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 合計消費電力 | 142W |
| 4時間に必要なWh(利用可能量) | 568Wh(公称容量 約668Wh) |
| 8時間に必要なWh(利用可能量) | 1,136Wh(公称容量 約1,336Wh) |
| 500Wh帯(利用可能 約435Wh)では | 約3.1時間 |
| 1,000Wh帯(利用可能 約870Wh)では | 約6.1時間 |
| 2,000Wh帯(利用可能 約1,740Wh)では | 約12.3時間 |
4時間なら1,000Wh帯で収まりますが、8時間では2,000Wh帯が目安になります。逆に、スマホ充電を勤務の途中だけに絞るといった工夫でも必要容量は下げられます。「全部を同時に、ずっと使う」前提で決めると容量は大きくなりがちなので、優先順位をつけて計算し直すことが要点です。
ルーターだけなら小容量でも長くもつ
構成の中でいちばん消費電力が小さいのがWi-Fiルーターです。ルーター単独(10Wで計算)なら、500Wh帯(利用可能 約435Wh)でも約43時間、1,000Wh帯では約87時間という計算になります。
つまり「会議に出るためのPC」よりも先に「通信そのもの」を長く維持したいだけなら、必要容量はぐっと小さくなります。仕事の継続に必要な範囲をどこまでにするかで、選ぶ容量帯は変わります。
注意点|電源があっても通信できるとは限らない
計算の前に押さえておきたいのが、通信回線側の事情です。
- 回線設備が止まれば、ルーターに電気があってもつながらない場合があります。 光回線の場合、自宅のONU(回線終端装置)やルーターだけでなく、マンションの共用設備など途中の設備も電気で動いています。停電の範囲によっては、自宅側に電源を用意しても通信できないことがあります。ONUもポータブル電源につなぐ必要がある点も見落としがちです。
- モバイル回線への切り替えも現実的な備えです。 固定回線が使えない場面では、スマートフォンのテザリングなどでモバイル回線に切り替える方法があります。その場合、消費の中心はスマホのバッテリーに移るため、スマホ充電のWhをシナリオに含めておくと見積もりが立てやすくなります。ただしモバイル回線側も、基地局の状況などによっては影響を受ける場合があります。
- 定格出力は、この用途では不足しにくい部類です。 フル構成でも合計142Wで、500Wh帯の代表機種の定格出力(500W)の範囲に収まります。在宅勤務用途では「容量が先に尽きる」ケースが中心です。ただし、電気ケトルなどの高出力家電を同じ電源で動かす場合は、合計Wが定格出力を超えないか別途確認してください。
- 勤務先のルールは別途確認してください。 停電時の勤務の扱い(振替や特別休暇など)は勤務先の規定によります。
発電で消費を補う考え方(ソーラーパネルで何Wh戻せるか)は、別の記事で逆算しています。
ポータブル電源にソーラーパネルは意味ある?発電量を数字で逆算する
自分の構成で計算する手順
表のシナリオは代表例です。自宅の構成では、次の手順で組み替えてください。
ステップ1: 停電中も使う仕事道具を書き出す
ノートPC、ルーター、ONU、モニター、照明など、「止まると勤務に差し支えるもの」だけに絞ります。
ステップ2: 各機器の消費電力(W)を合計する
この記事の表が目安になりますが、最終的には機器本体や取扱説明書の定格表示で確認してください。幅のある数値は大きい方で見積もると計画を立てやすくなります。合計Wが候補機種の定格出力を超えていないことも確認します。
ステップ3: 合計W × 続けたい時間をして、0.85で割り戻す
「合計W × 時間(h)」が必要な利用可能量(Wh)、それを0.85で割ったものが必要な公称容量の目安です。時間帯で構成が変わる場合は、分けて計算して合計する方法もあります。
なお、仕事だけでなく、冷蔵庫や照明など生活全体を何日分まかなうかという計算は、世帯別の備蓄記事で扱っています。
家族の人数で変わる備蓄の量|水・食料・電源を『人数×日数』で計算する
容量帯の目安と代表機種
シナリオの着地点に対応する代表機種です。仕様・価格はメーカー公表値で、価格は2026年10月24日時点の確認値です。
| 容量帯の目安 | 機種 | 容量 | 定格出力 | 価格(2026年10月24日時点) |
|---|---|---|---|---|
| 500Wh帯(半日勤務・通信維持が中心) | Jackery ポータブル電源 500 New | 512Wh | 500W | 69,800円(公式ストア価格) |
| 1,000Wh帯(モニターありで1日勤務) | EcoFlow DELTA 3 Plus | 1,024Wh | 1,500W | 149,600円(税込・メーカー希望小売価格) |
| 1,000Wh帯(同上) | Jackery ポータブル電源 1000 New | 1,070Wh | 1,500W | 119,800円(公式ストア価格) |
1,000Wh帯の2機種の詳しい比較は、機種別比較の記事で扱います。
DELTA 3 PlusとJackery 1000 Newを公式スペックで比較|1,000Wh帯の選び方
おすすめ機種|価格と向いている使い方
| 機種 | 価格(税込) | こんな人向け | 主な弱点・注意点 |
|---|---|---|---|
| Jackery ポータブル電源 500 New | 69,800円 | 最小構成。電気毛布と照明・スマホ充電だけ確保したい人 | 定格500Wのため、こたつ(最大600W)など大きめの家電は対象外 |
| EcoFlow DELTA 3 Plus | 149,600円 | 充電の速さ(満充電56分)と切替10ms未満を重視する人 | 1,000Wh帯の中では価格が高め |
| Jackery ポータブル電源 1000 New | 119,800円 | 価格と容量のバランスで選ぶ標準の1台 | 切替は20ms未満で、10ms未満の機種よりは遅い |
| Jackery ポータブル電源 2000 New V2 | 199,800円 | 冷蔵庫に加えて消費電力の大きい家電も回したい人 | 18.6kgと持ち運びには重い |
| Anker Solix C2000 Gen 2 | 229,900円 | 長期保管と寿命(サイクル維持率)を重視する人 | 単ポート最大1,500Wの制約あり。価格も高め |
| EcoFlow DELTA 3 Max Plus | 262,570円 | 定格出力3,000Wで大物家電まで使いたい人 | 22.1kgと最重量級で、価格も最高額帯 |
価格は2026年10月時点・公式ストア調べ(税込)です。
よくある質問
Q. デスクトップPCでも同じ計算が使えますか?
A. 式そのものは使えますが、本記事のシナリオはノートPC(80W)を前提にしています。デスクトップPCは本体の消費電力がノートPCより大きく、モニターも必須になるため、合計Wが大きく変わります。本体とモニターの定格表示を確認し、合計Wを置き換えて計算してください。
Q. 停電中に充電しながら使えば、時間を延ばせますか?
A. 本記事の計算は、バッテリーに蓄えられた容量だけを前提にしており、充電しながらの延長分は含めていません。ソーラー充電などを組み合わせる場合の発電量の見積もりは、ソーラーパネルの逆算記事を参照してください。
ポータブル電源にソーラーパネルは意味ある?発電量を数字で逆算する
まとめ
- 在宅勤務の必要容量は「同時に使う機器の合計W × 続けたい時間」で逆算でき、公称容量への換算には0.85で割り戻します。
- 最小構成(合計90W)なら4時間は500Wh帯、8時間は1,000Wh帯が目安。モニターや照明・充電を足すと、8時間では2,000Wh帯が目安になる場面もあります(いずれも計算例)。
- ルーター単独は消費が小さく、500Wh帯でも約43時間という計算です。継続したい範囲を絞るほど、必要な容量は小さくなります。
- 回線設備側が止まると通信できない場合があるため、電源の計算とあわせて、モバイル回線への切り替えも備えに入れておくのが現実的です。
出典(メーカー公表値・公式資料)
- ノートPC・LED照明・スマートフォン充電の消費電力の使用例: Jackery公式 各製品ページFAQ(https://www.jackery.jp/products/explorer-500-new / https://www.jackery.jp/products/explorer-1000-new / https://www.jackery.jp/products/explorer-2000-new )
- Wi-Fiルーターの消費電力の使用例: EcoFlow公式(独)RIVER 3 Plus製品ページ(https://www.ecoflow.com/de/river-3-plus-portable-power-station )
- 外付けモニターの消費電力: アイ・オー・データ機器 LCD-AH241EDB-A 製品仕様(消費電力 最大24W/通常使用時13W)
- 機種の容量・定格出力・価格: Jackery ポータブル電源 500 New(https://www.jackery.jp/products/explorer-500-new )、Jackery ポータブル電源 1000 New(https://www.jackery.jp/products/explorer-1000-new )、EcoFlow DELTA 3 Plus(https://www.ecoflow.com/jp/blog/delta-3-1500-vs-delta-3-plus )
※価格はいずれも2026年10月24日時点の公式ストア価格またはメーカー希望小売価格です。価格や仕様は変更される場合があります。