「備蓄は3日分が目安」と聞いて、2Lのペットボトルを何本か買って終わりにしていませんか。実際に必要な量は、家族の人数で大きく変わります。1人暮らしの3日分と、4人家族の3日分では、水だけでも4倍の差があります。

この記事では、備蓄の量を「人数 × 日数」で計算する方法を、水・食料・電源の3つに分けて整理します。公的機関が示す目安をもとに、自分の家族に当てはめて計算できる表を用意しました。

この記事の結論|備蓄量は『人数×日数』で決まります

水は1人1日3L(飲料+調理用)で、「必要な水(L)= 3L × 人数 × 日数」です。食料は「必要な食数 = 人数 × 3食 × 日数」で数えます。たとえば4人家族なら、水は3日分で36L(2L換算で18本)、7日分で84L(42本)、食料は3日分で36食、7日分で84食です。

まずは3日分を確保し、家族構成に合わせて7日分まで増やします。最初から7日分をそろえる必要はありません。

量が決まったら、置き場所と期限管理が続くかどうかが決め手です。置き場所は低い位置に分け、期限の近いものから普段使いして買い足すローリングストックで回します。

まず決めるのは「人数 × 日数」|公的な目安は最低3日分〜1週間分

農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」では、災害発生からライフラインが復旧するまで1週間以上を要するケースが多く、支援物資が3日以上届かないことも想定されるため、「最低3日分~1週間分 × 人数分」の食品の家庭備蓄が望ましいとされています。

つまり計算の出発点は、次の2つです。

  • 人数: 家族の人数(ペット分は別に考える)
  • 日数: まず最低ラインの3日分、次に1週間分(7日分)

この記事の表は、この「3日分」と「7日分」の2段階で作っています。最初から7日分をそろえる必要はなく、3日分を確保してから7日分へ増やす進め方もガイドで想定されています。なお、地域の状況によっては2週間分など多めの備えが大切だとも同ガイドは述べています。お住まいの自治体の案内もあわせて確認してください。

(出典: 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」 https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/chapter01.html )

水の必要量|1人1日3Lで計算する

飲料水の目安は、農林水産省が「飲料水と調理用水として1人当たり1日3リットル」と示しています。飲む分だけでなく、調理に使う分も含めた数字です。計算式はシンプルです。

必要な水(L)= 3L × 人数 × 日数

人数3日分2Lペットボトル換算7日分2Lペットボトル換算
1人9L約5本21L約11本
2人18L9本42L21本
4人36L18本84L42本

2L換算は端数を切り上げています。4人家族の7日分は84Lと大きな量になりますが、これは「一度に買ってリュックに詰める量」ではなく、自宅に分散して置いておく家庭備蓄の量です。重さもそのまま重量(84Lなら約84kg)になるため、置き場所は低い位置に分け、期限が近いものから普段使いして買い足す「ローリングストック」で管理する方法が、同省の案内でも紹介されています。

なお、この3Lは飲料・調理用の目安で、洗い物やトイレなどに使う生活用水は含みません。生活用水は別枠で考える必要があります。

(出典: 農林水産省 広報誌aff「知って備える 家庭備蓄のイロハ」 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2603/spe1_01.html /同ガイド)

食料の必要量|「人数 × 食数」で数える

食料も人数×日数が基本ですが、数え方は「食数」に置き換えると管理しやすくなります。1日3食とすると、計算は次の通りです。

必要な食数 = 人数 × 3食 × 日数

人数3日分7日分
1人9食21食
2人18食42食
4人36食84食

ここでいう「1食」は、非常食1パックとは限りません。パックごはん+レトルト食品+缶詰といった組み合わせも1食です。農林水産省の備蓄例(大人2人・1週間分)でも、米・乾麺・パックごはんなどの主食、レトルト食品や缶詰の主菜、日持ちする野菜や調味料を組み合わせる形が示されています。普段食べているものを少し多めに買い置きするローリングストックなら、食数で在庫を数えやすく、期限切れのまま放置する事態も避けやすくなります。

乳幼児・高齢者・慢性疾患・食物アレルギーなど配慮が必要な家族がいる場合は、一般的な備蓄品とは別に、その人に合った食品を用意する必要があると同ガイドは案内しています。人数の計算に含めるだけでなく、内容も分けて考えてください。

電源の必要量|1日に使う家電を選んで合計Whを出す

水と食料は「人数」で決まりますが、電源は違います。停電時に何の家電をどれだけ使うかで必要量が決まるため、世帯よりも「使い方」で差が出ます。次のワークシートで、自分の家庭の1日分の電力量を出してみてください。

ワークシート(記入用)

家電消費電力の目安1日に使う時間計算(W × 時間)1日あたり
(記入例)LED照明10W5時間10 × 550Wh
Wi-Fiルーター約3W〜10W
スマートフォン充電18W〜29W
ノートPC80W
テレビ60W
電気毛布55W
冷蔵庫一点で計算できない(下記参照)
合計Wh/日

消費電力の目安はメーカー公式ページの使用例などに基づく代表値です(出典は記事末尾)。実際の家電は型番・設定で変わるため、自宅の家電は本体の定格表示で確認してください。

冷蔵庫は、コンプレッサーのON/OFFで消費電力が大きく動き、メーカー公式FAQでも15W〜520Wと幅のある数値が示されています。ワークシートでは「平均消費電力を50W(または100W)と仮定した場合」で別計算にしてください。冷蔵庫だけの詳しい逆算は、こちらの記事で扱っています。

停電時に冷蔵庫は何時間もつ?ポータブル電源の容量別に逆算してみた

計算例(あくまで一例です)

同じ方法で計算した例を3つ示します。家電の選び方で結果は大きく変わるため、「この世帯ならこの容量」という断定ではなく、計算の進み方を見るための例として読んでください。

例1: 一人暮らし・最小構成(照明+通信のみ) LED照明 10W×5時間=50Wh、スマートフォン充電 29W×2時間=58Wh、Wi-Fiルーター 10W×24時間=240Wh。合計は 348Wh/日 です。

例2: 夫婦・在宅ワークあり(例1+PC・テレビ) 例1の348Whに、ノートPC 80W×4時間=320Wh、テレビ 60W×3時間=180Whを加えると 848Wh/日 です。

例3: 家族・冷蔵庫を動かす(平均50Wと仮定) 冷蔵庫 50W×24時間=1,200Wh、LED照明 50Wh、スマートフォン充電 29W×2台×2時間=116Wh、Wi-Fiルーター 240Wh。合計は 1,606Wh/日 です。炊飯器で1回炊く場合は、1.0Lで1回あたり167Wh(パナソニック公式)が別途加わります。

合計Whから、必要な容量と日数を出す

ポータブル電源の使用可能時間は、記事①と同じ式で計算します。

使用可能時間(h)= バッテリー容量(Wh)× 0.85 ÷ 消費電力(W)

逆に「1日に使う合計Wh」が分かれば、必要な容量は「合計Wh × 日数 ÷ 0.85」で見積もれます。上記の例に当てはめると、次のようになります(いずれも計算例)。

計算例1日の合計1日分に必要な容量の目安容量帯の目安
例1(一人暮らし・最小構成)348Wh348 ÷ 0.85 ≒ 約410Wh約500Wh帯で1日分
例2(夫婦・PCあり)848Wh848 ÷ 0.85 ≒ 約1,000Wh約1,000Wh帯で1日分
例3(家族・冷蔵庫あり)1,606Wh1,606 ÷ 0.85 ≒ 約1,890Wh約2,000Wh帯で1日分

ポイントは、日数が増えると必要な容量も比例して増えることです。例1の構成でも3日分なら 348 × 3 ÷ 0.85 ≒ 約1,228Wh が必要という計算になり、「一人暮らしだから小さい容量で何日分もまかなえる」とは限りません。まず1日分を計算し、次に「ポータブル電源でまかなうのは何日分か(残りは電池・カセットコンロ等で分担するか)」を決めるのが現実的な進め方です。容量帯ごとの機種比較と家電別の早見表は、記事①にまとめています。

ポータブル電源は何時間使える?500Wh・1000Wh・2000Wh別に家電の使用時間を逆算

計算方法について

本記事の使用可能時間は「バッテリー容量(Wh)× 0.85 ÷ 家電の消費電力(W)」で計算した目安です。0.85は、直流から交流への変換ロスなどを見込んだ当サイト独自の推定係数で、メーカーの保証値ではありません。実際の使用時間は、気温、バッテリーの使用年数、家電の設定や使い方、同時使用の有無によって変わります。特に冷蔵庫のようにコンプレッサーがON/OFFを繰り返す家電は消費電力の幅が大きく、計算結果にも幅が出ます。停電への備えとしては、短い方の見積もりを前提に計画することをおすすめします(安全性を保証するものではありません)。

買い足し品を選ぶときの見方

品目選ぶポイント
保存水1本あたりの容量と本数の組み合わせで総量を合わせる。期限の表示を購入時に確認
保存食(主食・主菜)普段食べる味を選ぶと期限前に消費しやすい。人数×日数分を種類で分散させる
衛生・その他水と食料の計算が済んでから、本文のチェック項目に沿って追加する

具体的な商品は、容量・個数・賞味期限の表示と1個あたりの価格を比べて選んでください。

備蓄は一度に揃えず、段階的に増やす

人数×日数で計算すると、特に7日分の量は大きく見えます。進め方としては、次の段階分けが現実的です。

  1. まず3日分をそろえる: 水・食料は公的目安の最低ライン。電源はワークシートで出した1日分を目安に、容量帯の目安を把握する
  2. 普段使いに組み込む: 水と食料はローリングストックで回し始め、期限の管理を習慣化する
  3. 7日分へ増やす: 置き場所と予算に合わせて少しずつ追加する。電源は「何日分をポータブル電源でまかなうか」を決めてから容量を見直す

備蓄は「買って終わり」ではなく、期限の確認と入れ替えまで含めて成り立ちます。最初に完璧な量を目指すより、計算して、3日分を置いて、回し始めることから始めてください。

まとめ

  • 備蓄量は「人数 × 日数」で決まります。公的目安(農林水産省)は、食品は最低3日分〜1週間分 × 人数分、飲料水は1人1日3L(飲料+調理用)です。
  • 水は「3L × 人数 × 日数」、食料は「人数 × 3食 × 日数」で食数に直すと、在庫を数えやすくなります。
  • 電源は人数ではなく使い方で決まります。ワークシートで1日の合計Whを出し、「合計Wh × 日数 ÷ 0.85」で必要な容量の目安を計算してください。計算はすべて目安で、短めの見積もりを前提に計画することが前提です。

出典

  • 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」(最低3日分~1週間分×人数分の家庭備蓄、ローリングストック、配慮が必要な方への案内) https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/chapter01.html
  • 農林水産省 広報誌aff 2026年3月号「知って備える 家庭備蓄のイロハ」(飲料水+調理用水として1人当たり1日3リットル、大人2人・1週間分の備蓄例) https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2603/spe1_01.html
  • 家電の消費電力の目安: Jackery公式 各製品ページFAQ、EcoFlow公式製品ページの使用例、パナソニック公式 取扱説明書(炊飯器の1回あたり消費電力量)

※公的目安はいずれも2026年10月24日時点で公式ページを確認した内容です。最新の案内は各機関の公式ページで確認してください。