冬の停電で一番困るのは、明かりよりも寒さです。では手元のポータブル電源で、エアコンやこたつはどれだけ動かせるのでしょうか。

この記事では、暖房家電の消費電力から「何時間もつか」を逆算します。結論を先に言うと、冬の停電で頼れるのは「部屋全体を暖める家電」ではなく「体に近い熱」です。数字で確認していきます。

当サイトは実機を持たず、メーカー公表値と公的資料だけで計算しています。使用時間は公表値×0.85の逆算で、実測ではありません。

この記事の結論|冬の停電では「部屋を暖める」より「体に近い熱」が現実解

  • エアコン(目安900W)は、2,048Wh帯でも約1.9時間。暖房の主役にはなりません
  • こたつは定格600Wで計算すると2,048Wh帯で約2.9時間ですが、実使用では温度制御で平均約180Wまで落ちるため、目安は約9.7時間まで伸びます
  • 電気毛布(55W)なら、2,048Wh帯で約31.6時間。512Wh帯でも約7.9時間と、就寝の一晩が視野に入ります
  • 冬の備えとして買うなら Jackery ポータブル電源 2000 New V2(199,800円)。電気毛布とこたつの併用でも一晩をまかなえる容量帯です。最小構成なら Jackery ポータブル電源 500 New(69,800円) で、電気毛布1枚・一晩分から始められます

おすすめ機種|冬の停電を想定するなら

機種 価格(税込) こんな人向け 主な弱点・注意点
Jackery ポータブル電源 2000 New V2 199,800円 冬の本命。電気毛布2枚+こたつでも一晩をまかなえる容量が欲しい人 18.6kgと持ち運びには重い
Jackery ポータブル電源 1000 New 119,800円 電気毛布なら約16.5時間。価格と容量のバランスで選ぶ標準の1台 切替は20ms未満で、10ms未満の機種よりは遅い
Anker Solix C2000 Gen 2 229,900円 長期保管と寿命(サイクル維持率)を重視する人 単ポート最大1,500Wの制約あり。価格も高め
EcoFlow DELTA 3 Max Plus 262,570円 定格出力3,000Wでエアコンも「動かせる」構成が欲しい人 動かせてもエアコンは約1.9時間。22.1kgと最重量級で、価格も最高額帯
EcoFlow DELTA 3 Plus 149,600円 停電復旧後の再充電の速さ(満充電56分)を重視する人 1,000Wh帯の中では価格が高め
Jackery ポータブル電源 500 New 69,800円 最小構成。電気毛布1枚と照明・スマホ充電だけ確保したい人 定格500Wのため、こたつ(最大600W)・エアコンは対象外

価格は2026年10月時点・公式ストア調べ(税込)です。

逆算|暖房家電は容量帯ごとに何時間もつか

計算式は「容量(Wh)× 0.85 ÷ 消費電力(W)」です(考え方は後半にまとめました)。容量(Wh)はタンクの大きさ、消費電力(W)は蛇口の太さにあたります。蛇口が太い家電ほど、タンクは早く空になります。

暖房家電 消費電力の前提 512Wh帯 1,024Wh帯 1,070Wh帯 2,048Wh帯
エアコン(暖房) 目安900W 定格500Wのため対象外 約1.0時間 約1.0時間 約1.9時間
こたつ(定格・強) 最大600W 定格500Wのため対象外 約1.5時間 約1.5時間 約2.9時間
こたつ(実使用の平均目安) 約180W 対象外(最大600Wが定格出力を超える) 約4.8時間 約5.1時間 約9.7時間
電気毛布(敷き毛布) 55W 約7.9時間 約15.8時間 約16.5時間 約31.6時間

前提の置き方は家電ごとに事情が違うため、次の節で1つずつ説明します。

エアコン|動かせても「時間」が足りない

エアコンの消費電力は室温や設定温度で大きく変わりますが、目安の900Wで計算すると、最大容量帯の2,048Whでも約1.9時間です。定格出力の小さい512Wh帯では、そもそも対象外になります。

つまりポータブル電源のエアコンは「短時間だけ室温の低下を緩める」用途で、一晩の暖房をまかなう前提の数字ではありません。冬の停電計画では、エアコンを主役に置かない方が安全です。容量帯ごとの全体像は容量帯ハブ記事にまとめています。

こたつ|定格600Wと「実使用」は分けて考える

こたつの定格は最大600W(メトロ電気工業のこたつヒーター MHU-601E では最大600W/最小90W)です。ただしこたつは温度制御で出力を落とすため、同じメーカーの実測条件(室温20℃・80×80cm・5時間運転の平均)では、消費電力量は1時間あたり約180Whまで落ちます。

そのためこの記事では、こたつの時間を2段で示しました。

  • 定格600Wで計算した時間(約2.9時間/2,048Wh帯) — 一番短い見積もり。計画はこの側で立てるのが安全です
  • 実使用の平均目安で計算した時間(約9.7時間/2,048Wh帯) — 温度制御が効いた場合の目安。室温や設定で大きく変わります

「定格の数字だけ見て、こたつはすぐ電池が切れると思っていた」という場合は、この差が理由です。逆に、実使用の数字だけを前提に計画すると、寒い夜ほど制御が強く働かず、想定より早く使い切る可能性があります。

電気毛布|冬の停電で一番頼れるのはこれ

電気毛布(敷き毛布)の消費電力は、代表的なモデルで55W前後です(アイリスオーヤマ EHB-F1480=55W、椙山紡織 SB-S103=55Wなど。40W級のモデルもあります)。

55Wなら、512Wh帯でも約7.9時間と就寝の一晩が視野に入り、2,048Wh帯では約31.6時間に達します。「部屋を暖める」のではなく「寝具の中を暖める」ことで、必要な熱量そのものが小さくなるためです。

冬の備えを容量から考えるなら、優先順位は「電気毛布を一晩」→「こたつの併用」→「エアコンは短時間だけ」の順になります。電気代の側面から暖房を見直したい場合は、夜間の料金プランの記事もあわせてどうぞ。

電気を使わない暖房|石油ストーブは「換気」が絶対条件

石油ストーブのような燃焼系の暖房は、機種によっては電源なしで使え、電気の容量を消費しません。冬の停電では有力な選択肢です。

ただし使用中は換気が必須です。東京都「東京くらしWEB」の石油ストーブの安全ページでは、使用中は1時間に1〜2回、1〜2分程度の換気をすること、換気が不足すると不完全燃焼を起こし、一酸化炭素中毒のおそれがあることが案内されています。電気の暖房と違い「つけっぱなしで安全」ではない点だけは、先に押さえてください。

また、窓の断熱シートや厚手のカーテン、毛布の重ねがけのような「熱を逃がさない工夫」は、消費電力ゼロで体感を底上げします。具体的な製品の推薦は実測していないため行いませんが、容量の計算とあわせて用意しておく価値があります。

一晩プランの内訳|就寝8時間で何Wh使うか

最後に、人数別に「冬の停電の一晩」を内訳表にします。いずれも就寝8時間の想定で、必要容量は合計Wh ÷ 0.85 で出しています。

単身・一晩

項目 計算 電力量
電気毛布 1枚 55W × 8時間 440Wh
LED照明 10W × 3時間 30Wh
Wi-Fiルーター・スマホ充電 15W × 8時間 120Wh
合計 約590Wh → 必要容量 約694Wh(1,000Wh帯が目安)

512Wh帯の利用可能量は約435Whのため、単身でも電気毛布一晩+通信まで入れると不足します。「電気毛布だけ」に絞れば約7.9時間で収まる計算です。

夫婦・一晩(電気毛布2枚)

項目 計算 電力量
電気毛布 2枚 55W × 2枚 × 8時間 880Wh
LED照明 10W × 3時間 30Wh
Wi-Fiルーター・スマホ充電 15W × 8時間 120Wh
合計 約1,030Wh → 必要容量 約1,212Wh(2,000Wh帯が目安)

冷蔵庫を並行して動かす場合は、冷蔵庫側の計算が別に必要です。詳しくは冷蔵庫の記事をどうぞ。

計算方法と注意点(根拠はここに集約)

  • 使用時間は「バッテリー容量(Wh)× 0.85 ÷ 消費電力(W)」で逆算しています。0.85は直流から交流への変換ロスなどを見込んだ当サイト独自の推定係数で、メーカーの保証値ではありません。実際の使用時間は、気温、バッテリーの使用年数、家電の設定や使い方、同時使用の有無で変わります。特に冬場はバッテリーの性能が低下する場合があるため、短い方の見積もりで計画してください
  • エアコンの900Wは目安です。機種・室温・設定温度で大きく変動します
  • こたつの「約180W」は、メトロ電気工業の取扱説明書に記載された実測条件(室温20℃・80×80cm・5時間運転の平均)に基づく参考値です。すべてのこたつ・環境に当てはまる値ではありません
  • 定格出力(W)を超える家電は、容量があっても使えません。512Wh帯の Jackery 500 New は定格500Wのため、最大600Wのこたつとエアコンは対象外として計算しました
  • 容量あたりの価格の比較は、Wh単価ランキングのページにまとめています

よくある質問

Q. エアコンはポータブル電源で一晩使えますか?
A. 目安900Wの計算では、2,048Wh帯でも約1.9時間です。一晩の暖房をまかなう使い方は現実的ではありません。短時間の補助として考えてください。

Q. こたつは「600W」なのに、なぜ約9.7時間という数字もあるのですか?
A. 600Wは定格の最大値で、こたつは温度制御で出力を落とすためです。メーカーの実測条件では平均約180Wまで落ちる例があり、その前提では約9.7時間(2,048Wh帯)になります。計画は短い方(定格計算)で立てるのが安全です。

Q. 石油ストーブがあれば、電気の暖房は考えなくて大丈夫ですか?
A. 電源不要の機種は心強い選択肢ですが、使用中の換気が必須で、換気不足は一酸化炭素中毒のおそれがあります(東京都「東京くらしWEB」)。就寝中に使い続ける前提にはしないでください。

Q. 512Wh帯では冬の停電は乗り切れませんか?
A. 部屋全体の暖房は対象外ですが、電気毛布1枚なら約7.9時間と一晩が視野に入ります。「何を暖めるか」を体に近いものへ絞れば、最小構成でも役割はあります。

まとめ

  • 冬の停電でエアコンは主役になりません(2,048Wh帯でも約1.9時間)
  • こたつは定格と実使用で時間の目安が大きく変わります(約2.9時間/約9.7時間、2,048Wh帯)。計画は短い方で
  • 電気毛布は55Wで約31.6時間(2,048Wh帯)、512Wh帯でも約7.9時間。「体に近い熱」が冬の現実解です
  • 買うなら容量帯の目安は、単身で電気毛布+通信まで含めると1,000Wh帯、夫婦で電気毛布2枚なら2,000Wh帯です

出典

  • こたつの定格・実測条件: メトロ電気工業 公式取扱説明書(MHU-601E)— 最大600W/最小90W、標準消費電力量は「強」でも1時間あたり約180Wh(室温20℃・80×80cm・5時間運転の平均、メーカー実測条件)
  • 電気毛布の消費電力: アイリスオーヤマ公式仕様(EHB-F1480=55W)、椙山紡織(SB-S103=55W)
  • 石油ストーブの換気・一酸化炭素中毒の注意: 東京都「東京くらしWEB」石油ストーブの安全ページ(使用中は1時間に1〜2回・1〜2分の換気)
  • 各機種の価格・容量: Jackery Japan 公式ストア、EcoFlow 公式ストア、Anker Japan 公式ストア(価格は2026年10月時点)
  • 使用時間は上記の公表値から当サイトで計算(実測ではありません)

※価格は変動します。購入時は公式ストアで最新の価格を確認してください。

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