ポータブル電源は何時間使える?500Wh・1000Wh・2000Wh別に家電の使用時間を逆算
停電したときに困るのは、暗さや寒さそのものよりも、「手元の電源で、どの家電がどれだけ動くのか分からない」ことです。ポータブル電源を選ぶ場面でも、容量が512Whの機種と2,048Whの機種では何がどれだけ違うのか、数字に置き換えないと判断がつきません。
この記事では、容量を「家電の消費電力」と「使える時間」に換算する方法を整理します。容量帯(約500Wh/約1,000Wh/約2,000Wh)ごとに、メーカー公表値をもとにした代表機種と、家電別の使用時間の目安をまとめました。見るべきは容量の大きさだけではなく、動かしたい家電の消費電力と使いたい時間の掛け算です。
なお、本記事の「使用時間」はすべて計算上の目安で、メーカーの保証値ではありません。計算方法と前提は後述の「計算方法について」に明記しています。
この記事の結論|迷ったらこの3台から
・標準の1台: Jackery ポータブル電源 1000 New(1,070Wh・119,800円)。冷蔵庫・照明・スマホ充電を1日まかなう容量で、価格とのバランスが取れた基準の1台です
・充電の速さと切替を重視: EcoFlow DELTA 3 Plus(1,024Wh・149,600円)。満充電56分、停電時の切替10ms未満
・冷蔵庫+αの大容量: Jackery ポータブル電源 2000 New V2(2,048Wh・199,800円)
家電ごとの使用時間は、この下の逆算表で確認してください。
先に結論|容量帯ごとに「何時間使えるか」の早見表
計算式「容量(Wh)× 0.85 ÷ 消費電力(W)」で求めた、容量帯別の使用時間の目安です(計算方法の詳細は次章)。電子レンジは消費電力1,000Wとして計算しています。
| 容量帯・機種 | 容量 | LED照明 10W | 電気毛布 55W | ノートPC 80W | 電子レンジ 1,000W |
|---|---|---|---|---|---|
| 約500Wh|Jackery 500 New | 512Wh | 約43時間 | 約7.9時間 | 約5.4時間 | 定格500Wのため使用不可 |
| 約1,000Wh|EcoFlow DELTA 3 Plus | 1,024Wh | 約87時間 | 約15.8時間 | 約10.9時間 | 約0.87時間 |
| 約1,000Wh|Jackery 1000 New | 1,070Wh | 約90時間 | 約16.5時間 | 約11.4時間 | 約0.9時間 |
| 約2,000Wh|Jackery 2000 New V2 | 2,048Wh | 約174時間 | 約31.6時間 | 約21.8時間 | 約1.7時間 |
| 約2,000Wh|Anker Solix C2000 Gen 2 | 2,048Wh | 約174時間 | 約31.6時間 | 約21.8時間 | 約1.7時間 |
| 約2,000Wh|EcoFlow DELTA 3 Max Plus | 2,048Wh | 約174時間 | 約31.6時間 | 約21.8時間 | 約1.7時間 |
傾向はシンプルです。照明・通信・ノートPCのような小さな家電なら、500Wh帯でも一晩以上まかなえます。一方、電子レンジのような高出力家電は、動かせるかがまず定格出力で決まり、動かせても容量を大きく消費します。
計算方法|「容量 × 0.85 ÷ 消費電力」
使用可能時間は、次の式で計算します。
使用可能時間(h)= バッテリー容量(Wh)× 0.85 ÷ 家電の消費電力(W)
たとえば容量1,024Whの機種で80WのノートPCを使う場合、1,024 × 0.85 ÷ 80 = 約10.9時間、という計算です。
計算方法について
本記事の使用可能時間は「バッテリー容量(Wh)× 0.85 ÷ 家電の消費電力(W)」で計算した目安です。0.85は、直流から交流への変換ロスなどを見込んだ当サイト独自の推定係数で、メーカーの保証値ではありません。実際の使用時間は、気温、バッテリーの使用年数、家電の設定や使い方、同時使用の有無によって変わります。特に冷蔵庫のようにコンプレッサーがON/OFFを繰り返す家電は消費電力の幅が大きく、計算結果にも幅が出ます。停電への備えとしては、短い方の見積もりを前提に計画することをおすすめします(安全性を保証するものではありません)。
参考までに、BLUETTI公式(EU)の製品ページFAQでは、稼働時間の目安を「容量 × 放電深度90% × インバーター効率85% ÷(負荷W + 自己消費 約15W)」とする式が示されています。この式では本記事の0.85よりも短めの見積もりになります。計画は短めの見積もりを前提にする方が安全側です。
家電別の消費電力の目安
計算のもとになる消費電力の目安です。メーカー公式ページの使用例などに基づく代表値で、実際の家電は型番・設定・使用環境で変動します。自宅の家電では、本体や取扱説明書の定格表示で確認してください。
| 家電 | 消費電力の目安 |
|---|---|
| Wi-Fiルーター | 約3W〜10W |
| LED照明 | 10W |
| スマートフォン充電 | 18W〜29W(機種・充電規格で変動) |
| 電気毛布 | 55W |
| ミニ冷蔵庫 | 60W |
| テレビ | 60W |
| ノートPC | 80W |
| 電気ケトル | 850W |
| エアコン | 900W(冷房能力や室温で大きく変動) |
| 電子レンジ | 960W〜1,160W |
| 冷蔵庫(家庭用) | 15W〜520W(幅が非常に大きい。下記参照) |
| 炊飯器(IHジャー) | 炊飯時 1,200W(1.0L)/1,400W(1.8L)、1回あたりの消費電力量は167Wh(1.0L)/225Wh(1.8L) |
(出典: Jackery公式 各製品ページFAQ、EcoFlow公式製品ページの使用例、パナソニック公式 取扱説明書。詳細は記事末尾の出典一覧)
冷蔵庫は扱いが別です。コンプレッサーのON/OFFで消費電力が大きく動き、メーカー公式FAQでも15W〜520Wと幅のある数値が示されています。一点では計算できないため、「平均消費電力を50W/100Wと仮定した場合」のシナリオで目安を示します。
| 容量帯 | 平均50Wと仮定 | 平均100Wと仮定 |
|---|---|---|
| 約500Wh(512Wh) | 約8.7時間 | 約4.4時間 |
| 約1,000Wh(1,024Wh) | 約17.4時間 | 約8.7時間 |
| 約2,000Wh(2,048Wh) | 約34.8時間 | 約17.4時間 |
炊飯器は「消費電力 × 時間」ではなく「1回あたりの消費電力量」で考える方が実態に合います。1.0Lの炊飯1回が167Wh(パナソニック公式)なので、約1,000Wh帯(利用可能量 約870Wh)なら約5回分に相当します。ただし炊飯時の消費電力1,200Wをまかなえる定格出力(1,500Wクラス)が別途必要です。
約500Wh帯|照明・通信・PCが中心なら
500Wh帯は、スマートフォンやWi-Fiルーター、LED照明、ノートPCといった小さな家電を長時間動かすための帯域です。電気毛布なら約7.9時間と、一晩の使用が視野に入ります。一方で定格出力が小さいため、電気ケトル(850W)や電子レンジ(960W〜)のような高出力家電は動きません。
| 機種 | 容量 | 定格出力 | 充電時間(公表値) | 重量 | 価格(2026年10月24日時点) |
|---|---|---|---|---|---|
| Jackery ポータブル電源 500 New | 512Wh | 500W | AC充電 満充電70分(仕様表)※ | 5.7kg | 69,800円(公式ストア価格) |
※同製品ページには「最速1.3時間」とする訴求表記もあり、表記にゆれがあります。ここでは仕様表の70分を採用しています。電池はリン酸鉄リチウムイオン、サイクル数4,000回以上(容量80%以上維持、メーカー公表)。
向くのは、一人暮らしで「照明・スマホ・PCが一晩もてばよい」という使い方や、停電対策の入り口として小さく始めるケースです。
Jackery ポータブル電源 500 New
約1,000Wh帯|冷蔵庫と調理家電が視野に入る
1,000Wh帯になると定格出力1,500Wクラスの機種が揃い、電気ケトルや電子レンジといった高出力家電も定格の範囲に入ってきます。冷蔵庫は平均100W仮定で約8〜9時間が目安で、照明・通信と組み合わせた「一晩の停電を乗り切る」構成が現実的になります。ただし電子レンジを1時間使えば容量のほぼ大半を使う計算で、高出力家電は「短時間だけ使う」前提で考える帯域です。
| 機種 | 容量 | 定格出力 | 充電時間(公表値) | 重量 | 価格(2026年10月24日時点) |
|---|---|---|---|---|---|
| EcoFlow DELTA 3 Plus | 1,024Wh | 1,500W | AC充電 満充電56分(40分で80%) | 約12.5kg | 149,600円(税込・メーカー希望小売価格) |
| Jackery ポータブル電源 1000 New | 1,070Wh | 1,500W | AC充電 満充電1.7時間(通常モード)/緊急充電モード時 最短60分 | 約10.8kg | 119,800円(公式ストア価格) |
いずれも電池はリン酸鉄リチウムイオンで、サイクル数はEcoFlow DELTA 3 Plusが4,000回(容量80%維持)、Jackery 1000 Newが4,000回(容量70%以上維持)と公表されています。
向くのは、2人程度の世帯で冷蔵庫+照明+通信を一晩まかないたいケースや、湯沸かし・簡単な調理も停電時に行いたいケースです。
約2,000Wh帯|家族世帯・長時間の停電を想定するなら
2,000Wh帯は、冷蔵庫を長めに動かしながら、照明・通信・PCも並行して使うことを想定した帯域です。平均100W仮定の冷蔵庫なら約17.4時間、電気毛布なら約31.6時間という計算になります。定格出力も2,000W以上となり高出力家電の余裕も広がりますが、エアコン(目安900W、室温等で大きく変動)を動かせば約1.9時間で使い切る計算で、長時間の冷暖房をまかなう用途とは分けて考える必要があります。
| 機種 | 容量 | 定格出力 | 充電時間(公表値) | 重量 | 価格(2026年10月24日時点) |
|---|---|---|---|---|---|
| Jackery ポータブル電源 2000 New V2 | 2,048Wh(公式ページ内に2,042Wh表記もあり) | 2,200W | AC充電 満充電2時間(仕様表) | 18.6kg | 199,800円(公式ストア価格) |
| Anker Solix C2000 Gen 2 | 2,048Wh | 2,000W(日本仕様、単ポート最大1,500W) | 満充電 約99分(AC入力時) | 約19.0kg | 229,900円(税込) |
| EcoFlow DELTA 3 Max Plus | 2,048Wh | 3,000W | AC充電 満充電 約100分 | 約22.1kg | 262,570円(税込・メーカー希望小売価格) |
3機種とも容量は2,048Whで横並びですが、定格出力と価格に差があります。容量が同じでも「何を同時に動かせるか」は定格出力で変わる、という点がこの帯域の比較ポイントです。重量は18.6kg〜22.1kgあり、設置場所までの運び方も含めて検討してください。
向くのは、家族世帯で冷蔵庫の長時間運転を前提にするケースや、停電が長引く場面も想定して余裕を持たせたいケースです。
おすすめ機種|価格と向いている使い方
| 機種 | 価格(税込) | こんな人向け | 主な弱点・注意点 |
|---|---|---|---|
| Jackery ポータブル電源 500 New | 69,800円 | 最小構成。電気毛布と照明・スマホ充電だけ確保したい人 | 定格500Wのため、こたつ(最大600W)など大きめの家電は対象外 |
| EcoFlow DELTA 3 Plus | 149,600円 | 充電の速さ(満充電56分)と切替10ms未満を重視する人 | 1,000Wh帯の中では価格が高め |
| Jackery ポータブル電源 1000 New | 119,800円 | 価格と容量のバランスで選ぶ標準の1台 | 切替は20ms未満で、10ms未満の機種よりは遅い |
| Jackery ポータブル電源 2000 New V2 | 199,800円 | 冷蔵庫に加えて消費電力の大きい家電も回したい人 | 18.6kgと持ち運びには重い |
| Anker Solix C2000 Gen 2 | 229,900円 | 長期保管と寿命(サイクル維持率)を重視する人 | 単ポート最大1,500Wの制約あり。価格も高め |
| EcoFlow DELTA 3 Max Plus | 262,570円 | 定格出力3,000Wで大物家電まで使いたい人 | 22.1kgと最重量級で、価格も最高額帯 |
価格は2026年10月時点・公式ストア調べ(税込)です。
選び方の手順|「動かしたい家電」から逆算する
容量は、カタログの大きい数字から選ぶのではなく、自宅の家電から逆算して決めます。手順は次の3ステップです。
ステップ1: 停電時に動かしたい家電を決める まず「冷蔵庫」「照明」「スマホ・ルーター」「ノートPC」など、止めたくない家電を書き出します。この記事の家電別表が目安になりますが、最終的には自宅の家電の定格表示で消費電力を確認してください。
ステップ2: 合計Wと、1日分のWhを出す 同時に使う家電の消費電力を合計し、候補機種の定格出力を超えていないか確認します。次に「消費電力(W)× 使う時間(h)」を家電ごとに合計すると、必要な電力量(Wh)が出ます。例: 冷蔵庫(平均100W仮定 × 10時間 = 1,000Wh)+ LED照明(10W × 5時間 = 50Wh)+ ノートPC(80W × 3時間 = 240Wh)で、合計は約1,290Whです。
ステップ3: 必要Whから容量帯を決める ステップ2の合計Whを0.85で割ると、必要なバッテリー容量の目安になります。上記の例では 1,290 ÷ 0.85 ≒ 約1,518Wh となり、1,000Wh帯では足りず、2,000Wh帯が候補になります。逆に、照明と通信だけなら数百Whで収まり、500Wh帯で十分という計算もあり得ます。「何日分もたせたいか」を決めると、容量帯は自然に絞れます。
注意点|定格出力を超える家電は動かせない
計算で見落としやすいのが、容量(Wh)とは別物である「定格出力(W)」です。
- 定格出力を超える家電は動かせません。 たとえば定格500Wの機種では、消費電力850Wの電気ケトルは容量が余っていても動きません。電子レンジ(960W〜1,160W)を使いたいなら、最低でもそれを上回る定格出力が必要です。
- 同時使用は合計Wで判断します。 1台ずつは定格内でも、合計が定格出力を超えると使えません。
- 「瞬間最大(サージ)」や「X-Boost」等の表記は定格出力ではありません。 起動時に一瞬だけ出せる出力や、特定条件での拡張モードを指す数字で、「その消費電力の家電を継続して使える」根拠にはなりません。比較するときは定格出力の数字同士で見てください。
- 電子レンジなどの高出力家電は、動いても容量の消費が大きい点に注意してください。 約1,000Wh帯で電子レンジ(1,000W計算)を使うと約0.9時間で使い切る計算で、温め直しのような数分単位の使用に絞るのが現実的です。
- エアコンは冷房能力や室温で消費電力が大きく変わります。目安の900Wで計算しても約2,000Wh帯で約1.9時間で、長時間の冷暖房をまかなう前提の数字ではありません。
よくある質問
Q. ソーラー充電で使いながら時間を延ばせますか?
A. 本記事の使用時間は、バッテリーに蓄えられた容量だけを前提にした計算で、充電しながら使う場合の延長分は含めていません。ソーラーパネル側の出力や機種の入力仕様は製品ごとに異なるため、組み合わせは各メーカー公式ページで確認してください。
Q. 車中泊向けの選び方と何が違いますか?
A. 家庭の停電対策では、冷蔵庫のように「止めずに動かし続ける家電」が中心で、必要な容量は「消費電力 × 長時間」で決まります。短時間の家電が中心の使い方とは見積もり方が変わります。
まとめ
- 使用時間は「容量(Wh)× 0.85 ÷ 消費電力(W)」で逆算できます。0.85は当サイト独自の推定係数で、短めに見積もる前提で計画してください。
- 約500Wh帯は照明・通信・PC中心、約1,000Wh帯は冷蔵庫+一晩の停電対応、約2,000Wh帯は家族世帯・長時間対応が目安です。
- 容量と同じくらい定格出力(W)の確認が重要です。特に電子レンジや電気ケトルなどの高出力家電から逆算して容量帯を決めてください。
出典(メーカー公表値・公式資料)
- Jackery ポータブル電源 500 New / 1000 New / 2000 New V2: Jackery Japan 公式製品ページ(https://www.jackery.jp/products/explorer-500-new / https://www.jackery.jp/products/explorer-1000-new / https://www.jackery.jp/products/explorer-2000-new )、各ページFAQの家電使用例を含む
- EcoFlow DELTA 3 Plus: EcoFlow公式日本ブログ(https://www.ecoflow.com/jp/blog/delta-3-1500-vs-delta-3-plus )
- EcoFlow DELTA 3 Max Plus: EcoFlow公式日本ブログ(https://www.ecoflow.com/jp/blog/delta-3-max-plus-vs-delta-2-max )
- Anker Solix C2000 Gen 2: アンカー・ジャパン発表資料(https://release.nikkei.co.jp/attach/697575/02_202510021527.pdf )
- 炊飯器の炊飯時消費電力・1回あたり消費電力量: パナソニック公式 取扱説明書(https://panasonic.jp/manualdl/p-db/sr/sr-pb3_01.pdf )
- 計算式の考え方の参考: BLUETTI公式(EU)AC180ページFAQ(https://fr.bluettipower.eu/pages/ac180 )
※価格はいずれも2026年10月24日時点の公式ストア価格またはメーカー希望小売価格です。価格や仕様は変更される場合があります。
なお、冬の停電で暖房家電が何時間もつかは、冬の停電の暖房を逆算した記事で容量帯別にまとめています。